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原題 The Meaning of Geese
著者 Nick Acheson
ページ数 240
分野 自然/鳥/バードウォッチング
出版社 ‎Chelsea Green Publishing
出版日 2023/02/09
ISBN 978-1915294098
本文 ノーフォークで生まれ育った著者は子ども時代、先生に連れられて行ったバードウォッチング以来、雁が大好きになる。水鳥である雁は越冬のため、毎年アイスランドやシベリアなどからノーフォークへと渡って来る。五年間の大学時代や、南米でバードウォッチングツアーのガイドなどをして暮らした十年間を経て故郷に戻った著者は、引き続きガイドや自然保護活動の仕事をし、世界中を飛び回っていた。そして二〇二〇年。パンデミックで失業し、友達や家族にも容易に会えなくなった著者は、雁の越冬を追う決意をする。母親の年季の入った赤い自転車で、約二千キロメートルにおよぶ旅が始まった。
 著者は、雁の鳴き声や到着情報を得るたびに自宅から自転車で出かけていった。二〇二〇年九月、雁が北方からイングランドへと渡ってきてから冬を越し、二〇二一年四月、再び北方へと戻ってゆくまでの記録を、ひと月あたり十日分程度の日記形式で綴っている。ちなみに、初回の旅で著者は、悪天候の中をずぶ濡れで家と湖を往復する羽目になる。四十七歳が四十一年物の自転車で四苦八苦しながら帰宅する様子がリアリティたっぷりに記録されている。
 越冬する雁にも実に様々な種類があり、見た目も多種多様である。非常に珍しい種類の雁が一般的な種類の雁の群れに一羽だけ混ざって飛んでくることもある。著者の関心の対象は珍しい雁に限らない。昔から馴染みのある一般的な種類の雁に対する愛着や思い出のエピソードも回想として多数綴られている。
 また、今回の旅を通して出会ったり協力を得たりした様々な人々や、彼らと雁のエピソードについても記録されており、全体的に単なる野鳥の観察日記ではなく、より深みのある内容に仕上げられている。
 雁は、日本ではあまり身近な野鳥ではない。しかし、次々に登場する雁の種類名をGoogleで検索しながら(※写真が入っていればありがたかった!)本書を読み進めるうち、雁たちに実際に会いにノーフォークの大自然を訪れてみたくなること請けあいである。