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原題 Encounters with Living Language
著者 Christina Donnell PhD (Author), Ellen Kleiner (Editor)
ページ数 160
分野 スピリチュアル
出版社 Winds of Change Books
出版日 2023/03/21
ISBN 978-0980181005
本文 1997年から2015年の間に、著者は92回もの「イルミネーション」を経験したという。「イルミネーション」とは、言語による意識拡大の体験であり、見えざる世界からのメッセージを受け取る瞬間である。このとき、人は自己の身体が他の人々の身体や周囲の環境と共鳴するのを感じ、より高次の意識へと高められる。「イルミネーション」という命名は、著者が体験した「照らし出される」ような感覚に由来する。

著者がイルミネーションをはじめて体験したのは1997年だが、2回目を体験するには2012年まで待たねばならなかった。著者は、これらの「イルミネーション体験」が起こった状況や、その体験から受け取ったメッセージを、章を追って時間軸に従って語っていく。イルミネーションの特徴は、言語と一体になった感覚を抱くことだという。身体全体で言語のリズムを感じ、身体がその一構成要素になったかのように感じられるのだ。このような言語との遭遇により、人は日常世界を超えた現実へと導かれ、概念的な思考ではなく、直接的な知識を受け取ることになる。著者はこの体験を「生きている言語」という言葉で表現している。

今なお物理的な現実を表象する昔ながらの言語が人々の通常の意識を支配している現状ではあるが、人々の気づかないうちに、意識の拡大をもたらす新たな言語がひそかに忍び寄っているかもしれない。それは何の制限にも縛られない、永遠・無限の境地だ。そしてこの言語とのより深い交流によって生じる意識の拡大は、普遍的なものである。言葉の力に身をゆだねた経験を記した本書は、読者自身のうちにも存在する言語の計り知れない潜在能力を探求するきっかけとなるにちがいない。