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原題 Using Theory to Explore Health, Medicine and Society
著者 Peter Kennedy, Carol Ann Kennedy
分野 社会学/医療社会学
出版社 Policy Pr
出版日 2010/6/16
ISBN 978-187424020
本文 著者は本書で、健康と病気について社会学の分野で扱われる際に中心となる医療化論について述べる。

「医療化」とは、もともと医療の問題でなかった社会現象が次第に医療現象として再定義されることを指す。医療現象として定義された問題は、果たして医学のみで解決もしくは理解できるのか。本書では、健康と病気に関連した社会理論に光を当てるため、広範囲に及ぶ理論を検討し、医療化に対する肯定論、否定論を取り上げ、さらなる議論の活発化を目指す。また、補完医療、代替医療の出現、幸福を売り物にする産業、MMRワクチン(訳注:麻疹、風疹、おたふくかぜ予防の混合ワクチン)に対する不安、いわゆる「流行病」と呼ばれる痛飲や肥満といった現代社会の問題について理解を深めるために社会理論が有効であることを強調する。

現代人の直面する健康と医療に関する問題への理解は、社会理論を用いることで深まる。そうして理解を深めることが問題解決への糸口となるだろう。