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原題 Water Therapy: A Concise, Easy-to-read and Practical Guide to the Importance of Correct Hydration
著者 James Cooper
分野 家庭医学/健康
出版社 B. Jain Publishers(インド)
出版日 2013/5/24
ISBN 978-8131911402
本文 人間の体の70%は水である――今ではすっかり周知のことだ。だが、厳密にいうとこれは事実ではない。私たちの体の70%は「塩水」なのだ。汗も涙も、血でさえ、舐めてみるとしょっぱいことに気付く。

水分補給には塩が重要な役割を果たすことを知らず、ただ大量の水を飲み、体が脱塩を起こして健康状態をさらに悪化させてしまう人もいる。一般の人たちばかりではない。医師でさえ、「適切に水と塩を摂取すれば健康状態が改善される」という事実をおざなりにしてしまっている。水や塩を勧めるだけでは、利益が得られないからだ。

本書の著者は、純水と自然塩による適切な水分補給で病気を治療・予防する「水療法」について長年、研究を行ってきた。そして、関節炎、高血圧、肥満など、多くの病気を「水療法」で治療・予防できると主張する。

「1日に体重に3をかけた量の水を飲む(体重60キロの人なら60×3で1.8リットルの水)」、「水1リットルにつきスプーン1/3杯の塩を摂取する」などといった原則に加え、暑い地域に暮らす場合、スポーツをする人の場合など、より詳細なガイドラインが示されていて興味深い。また、水道水に含まれる各成分の体への影響、浄水器の水や市販のミネラルウォーターといったあらゆる水の長所と短所など、有益な情報がわかりやすくまとめられている。

ハイレベルな内容が非常に身近な視点から簡潔に濃縮されており、読んでいてどんどん引き込まれる。自分の生活習慣にあてはめながら読んでいくうちに生まれる「コーヒーやビールは水に入るのだろうか」、「水を飲むのが好きではないのだけど……」といった素朴な疑問にも、Q&Aで答えてくれる。

生命の根幹を成す水と塩とを意識した暮らしを送ることで、お金も時間もかけずに健康な体を手に入れる――そのために必要な基礎知識のすべてがここに詰まっている。