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2013/11/07

フランクフルトブックフェア2013 レポート


       >>>フランクフルトブックフェア2013 レポート<<<

今年は例年になく悪天候に見舞われたフランクフルト。10年前に参加し始めた頃は、海外の出版社が主催するパーティーで夜中まで飲んでいたのに、ここ数年は日中のミーティングをこなすだけでヘトヘト。年のせいでしょうか……。


■データゲーム化してきた出版ビジネス

電子出版市場は米国を中心に既に青年期を迎えつつある。今回はそんな雰囲気が感じられました。出版業界の構造も米国を中心にすっかり様変わりした感があります。以下は、変化の急先鋒を担う米国市場を中心にした動向です。

マーケティング部門で求められる人材は、今やデジタルやWebのリテラシーに精通していることが必須となっています。ソーシャルメディアを駆使しながらSEOをさらに改善、Eコマースを拡充し、業界を越えたコラボレーションやネットワークを構築する手腕も必要です。つまり、「本をネットワーク化」し、「バイラル」に作品の存在を知らしめて「売る」手腕といえましょうか。携帯電話を買い替える際には妻にも同行してもらわなければならない私のようなITオンチには無縁の世界です……。

編集部門は編集部門で、やるべき新たな仕事が爆発的といっていいほど増えています。従来の仕事に加え、作品のWebサイト構築や、Facebook、Twitterの立ち上げのほか、最近ではGoodreads(http://www.goodreads.com/ 今年Amazonが買収)に刊行の1年前から表紙やサンプルチャプターを掲載してプレマーケティングとして活用する動きも活発化しており、マルチメディアマネジメントが重要になってきています。ある中規模の米国出版社の担当者に聞くと、このような仕事はソーシャルメディアが「好き」なくらいではとても務まらず、デジタルネイティブ世代が「中毒」になってやるくらいでやっと効果を発揮する、とのことでした。

ちなみにこのGoodreads、月間約2,000万人のビジター数を誇り、今や会員登録の45%は海外からだとか。Facebookに比べ、参加者の読書に対する興味とエンゲージメント率が高いため、出版社はもちろん、著者が読者とのつながりを求めて参加して熱気を帯びたコミュニティを形成しています。著者(作品)と読者の双方向性、そして実名登録の会員が薦める本がその友人にバイラルに展開するこの巨大なコミュニティには多くの出版関係者が注目しており、Goodreads側は今後、10万人の著者を取り込むことを目標にしているようです。
ここで見えてきたのは、出版ビジネスが今や「データゲーム化」してきたということ。これまで経験や直感に頼ってきたリスクの大きい見込生産型の出版ビジネスが、かなりの比重でWebの世界に生態系を移行しつつある現在、あらゆるデータ分析に基づく戦略の立案が可能になってきたからです。


■出版ビジネスのポジショニング

今やデジタルの世界に呑み込まれつつある出版ビジネスの競争相手は、競合他社というよりビデオゲームやNetflix(https://signup.netflix.com/global)、あるいはソーシャルメディアとなっています。ユーザーの持つ限られた時間の争奪戦といってもいいでしょう。先月発売になったゲーム、Grand TheftAuto V は発売初日で1,000万ユニットの売り上げを記録し、たったの3日間で約1,000億円を稼ぎ出したそうです。ゲームの稼ぎ出すマネーは巨大で、出版ビジネスに関わる人間から見ると別世界のよう。映像やアニメーションを埋め込んだ本も一時期出回りましたが、ゲームほど稼ぎ出した事例はまだ知りませんし、本というアイデンティティを失ってまで勝負する意味があるのかわかりません。


■セルフパブリッシング全盛時代において

出版ビジネスの生態系の変化として、セルフパブリッシングが全盛時代を迎えているということが挙げられます。米国で年間にセルフパブリッシングされる点数は30万点を軽く超えており、$0.99の価格をつけた電子書籍も今や珍しくありません。悪い言い方をすれば、ここ数年は市場が荒れて乱戦状態。セルフパブリッシングの隆盛により価格破壊が起きた現在の市場動向に眉をひそめる向きも多いのは事実ですが、伝統的な出版社はこれまで以上に良質の本に光を当て、価値ある読書体験を提供できるかを問われており、これからが本当の正念場となります。


■日本にとってのヒント

アイデアとデジタル戦略次第で、インディペンデント系の出版社がコングロマリット系出版社と互角に戦えるフラットな世界になってきました。Open RoadIntegrated Media(http://www.openroadmedia.com/)はフランス、ドイツ、イタリア、スペインの出版社と提携し、英語書籍の多言語展開を新たな武器に新市場を開拓中であり、また、各言語の英語化にも積極的です。スペイン語圏だけでも大雑把に見積もって5億人市場といわれています。小社は、日本の作品の英語化、あるいは多言語化展開についてもOpen Road Integrated Mediaと協議中です。また、既に2点、小社が扱う日本の小説を英訳出版してくれているAmazonCrossing(http://www.apub.com/)の編集者と今年もミーティングを行いました。アメリカではライターが徹底的に売れ線のライティング手法をたたき込まれている一方、その副作用として、似たような作品が市場に氾濫してしまっているとのこと。彼らが期待するのは、まったく異なる流儀で書かれた海外作品の翻訳出版が新たな息吹をもたらしてくれることです。

これから日本のコンテンツを多言語化し、自分たちでワールドマーケットに打って出る出版社やエージェント、あるいは個人が必ずや出てくるはず。それだけ海外市場は大きいし、可能性と魅力があると感じた今回のフランクフルトブックフェアでした。

参考文献:
PW Show Daily Oct 9-10
The Bookseller Daily Oct 9-10
Publishing Perspectives Show Daily Oct 9-10

                                                    近谷浩二



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